宮城県議会議員 高橋伸二

一般質問議事録

平成23年03月 予算特別委員会

◆(高橋伸二委員) 自由民主党・県民会議の高橋伸二でございます。傍聴席に地元川崎町の議長さん初め議員さん、それから柴田町の町議会の議員さんもお見えですけれども、いつになく緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いします。
 きょうは三月三日、桃の節句でございまして、熊谷盛廣委員の誕生日でもあるということでございます。大変おめでとうでございます。
 実は、我が家にも二人の女の子がいまして、きょうも帰りの遅い父親を気遣いながら、ささやかなひな祭りをきょうの夜やってるんじゃないかな。父親の安全を願いつつ、ひな祭りをやっているんだろうと思いますので、その子供たちに思いをはせながら、この宮城県の将来のために、子供たちのために、また頑張っていきたいというふうに思っております。
 昨今の国政の状況を見るにつけ、私たち政治にかかわる者の言葉の大切さ、言葉の重さ、そういうものをつくづくと感じるきょうこのごろでございまして、自分の発言にしっかりと責任を持つ。そして、その責任を果たすために、全力を挙げる。そのことが、国家、国民のための信頼を、政治に対する信頼を厚くしていくものだというふうに思っております。政治にかかわる者の一人として肝に銘じてかかっていきたいというふうに思っております。そういうところ、知事は正義感がとても強くて、責任感もあって、とてもすばらしい政治家の一人だと思います。ちょっとよいしょでございますけれども。これまでも、そしてこれからも本音の議論を闘わせていきたいというふうに思いますので、富県宮城の実現のために、ともに頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず初めに、一括交付金についてということでございます。
 民主党のマニフェストの中にも大きく掲げられておりますけれども、地域自主戦略交付金、今回の国の予算でございます。五千百二十億円の創設がなされております。これは、地方の自由裁量で予算を組むことができることになる。民主党の掲げる地域主権、これが大きく前進したというふうに一見見ることができるんだと思いますけれども、この一括交付金ですけれども、実は、農業予算の農山漁村地域整備交付金、ここから一千九十億円、そして、国土交通省予算の社会資本整備総合交付金、ここから三千七百六十億円、それぞれ拠出しております。その他、厚生労働省、警察庁、文部科学省、経産省、環境省、総務省、こういったところから補助金をかき集めまして創設したということになっております。ひもつき補助金を段階的に廃止し、地域の自由裁量を拡大することを目的としているが、都道府県の評価は冷ややかとの報道がなされているのも事実でありまして、この一括交付金についての知事の見解を伺いたいというふうに思います。
◎(村井嘉浩知事) 一括交付金につきましては、各府省の強い抵抗があったにもかかわらず、一定規模の地域自主戦略交付金という形で創設されまして、地方の自主裁量を拡大をすることになりました。その意味では一歩前進だと、一定の評価をしていいのではないかと思っております。しかしながら、いまだに配分額、配分方法の詳細が不明なことから、来年度の当初予算は従来どおりの国庫補助制度を前提に編成せざるを得なかったわけでございます。また、一括交付金化と言われましても、総額がふえなければ、今やっている事業を引き続き継続してやっていかなければならないわけでございまして、総額がふえるということが大前提でなければならないと、このように考えております。
◆(高橋伸二委員) 一歩前進というお話でしたけれども、一般質問の中山議員の質問の中でもそういうふうにお答えになっておりましたけれども、この交付金ですけれども、先ほど申し上げました、地域のことは地域が決める地域主権を確立するため、基本的に地方が自由に使える一括交付金として創設されております。しかし、今、知事が言ったとおり、明確な制度設計が説明がされていない。報道によると、宮城県は、全国のアンケートに対して、情報提供が遅く、予算編成に支障を来した。このように答えているようでありますけれども、現状について伺いたいと思います。
◎(今野純一総務部長) 今、高橋委員からお話あったとおりでございますが、知事会もちろんでありますけれども、都道府県議会議長会からも早く情報提供をお願いしたいと要請をしていただいておりましたが、制度設計進まない、地方への情報提供がおくれたということで、先ほど知事から答弁にありましたように、来年度の当初予算では、やむを得ず従来どおりの国庫補助制度を前提として編成をしております。今後、国からの配分を待って補正予算で対応をするということになると考えております。配分方法など含んだ制度設計については少しずつ明らかにはされてきておりますけれども、肝心の配分額、それから詳細な配分方法いまだに不明ということでございます。これまでにわかったことということでは、交付金全体の九割は国の予算、予算関連法案の成立後に、各団体の継続事業の事業量に応じて、九割が一次配分されると。残り一割は、七月をめどに、各団体の道路延長といった客観指標で二次配分されるというふうに聞いております。
◆(高橋伸二委員) その一次配分ですけれども、継続事業を円滑的に実施する。そのために継続事業を各県から募って、予算配分の九割、五千百二十億円のうちの九割、約四千四百億円を配分されるということでよろしいんでしょうか。
◎(今野純一総務部長) 五千百二十億のうち、北海道とか沖縄とかの分がもともと別に予算措置されていた分がございまして、それを除いた約四千四百億のうちの約四千億が一次配分されるというふうに理解しております。
◆(高橋伸二委員) その一次配分の使われ方ですけれども、これを見ますと、継続される事業を集めて、その九割、約四千四百億円に継続される事業がおさまればそれで済むんだと思うんですけれども、これがその範囲を超えてしまったという場合は、これはどのようになるのか。
◎(今野純一総務部長) 一次配分、具体的にどういった配分額となるかというところで、そういう意味で心配をいたしております。当然、これまで補助事業という形で何カ年かの継続事業で事業を実施してきておりますものが動いておりますから、それをこれまでの予定どおりの形で動かしていくためには、しかるべき配分が来ないとだめだということで、そこのところを心配をしているというところでございます。
◆(高橋伸二委員) この一次配分でもし足りないというふうになった場合、二次配分でこれを配慮されるということにはならないんでしょうか、どうでしょうか。
◎(今野純一総務部長) それは先ほど申し上げましたが、配分額、それから配分の方法といったところで、国の事前のチェックあるいは事後のチェック、どういった形で入ってくるかといったあたりも、制度の全体を見てみませんと何とも、どういう自由度で使えるかというところがございますので、そこは制度の全体を見ないと、何とも言えないということだと思っております。
◆(高橋伸二委員) なかなか制度そのものが明示されていないということで、県としても苦慮しているというふうな様子が今うかがえるんですけれども、地域のことは地域で決める地域主権を確立するために、基本的に地方が自由に使える一括交付金として、先ほど申し上げましたけれども、創設されました。しかし、国が権限を持ったまま地方にお金を配分する仕組みは、何も変わっていない。使途が限定されるなど、中身は補助金の寄せ集めで、地方が求めていた姿とはほど遠い。このように、新聞の記事でございますけれども、酷評されている部分もございます。今までのひもつき補助金と一体どこが違うのか。何も変わらないんじゃないかというふうな感じもするわけですけれども、この点についてはいかがでございますか。
◎(今野純一総務部長) これは繰り返しになりますけれども、制度の全体を見てということだと思います。ただ、基本的には、考え方としては、地方の自由裁量の幅が方向としては拡大してくるようなそういうスキームで制度がつくられるのだろうと大きく期待をしております。しかも、この交付金自体が、これは本会議でも知事から答弁ありましたように、過渡的な形というふうにとらえておりますので、こういった方向性で地方が自由に使える、地方の判断で使える財源が拡大していく方向で制度がつくられていくということに大きく期待をしているということでございます。
◆(高橋伸二委員) なかなかそのような期待どおりにいくのかどうなのかということを考えると、今の菅政権の様子を見ていると、どうも言葉は踊るんですけれども、中身が伴ってこないというようなふうに見えるわけであります。制度設計が決まっていないということでございまして、都道府県ごとの交付額の確定が困難になると。県としても予想がつかない。更に、二十三年度の予算関連法案の年度内成立、ちょっと厳しい状況にあるというふうに今見られております。予算案だけ衆議院を通して関連法案は別という、今まで余り聞いたことのないような手法で、菅政権は、予算案及び予算関連法案の審議をやろうというふうな形になっているようですけども、予算交付額の決定がなされない段階で、これに係る宮城県の事業執行上の影響、これは本当に大丈夫なのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
◎(今野純一総務部長) 今心配しておりますのは、配分額とか配分方法の決定がおくれた場合に、その決定される時期にもよりますけれども、一般的には、事業に着手する時期が先送りせざるを得ないとか、それから事業の規模とか箇所数とかこういったことにも調整をしなければいけないというような事態を、そういう事態が起こることを大変心配をしております。実際にそういうことになった場合には、工事の早期発注ができないというようなことになってまいりますので、地域経済にとっても、そういう意味で大きな影響が生じてくるということが現実の問題として懸念をされることになります。国会でできるだけ早く予算関連法案、成立させていただきたいということを念願をしているものでございます。
◆(高橋伸二委員) これは国会のことでございますので、何とも言えませんけれども、この交付金ですけれども、先ほども言いましたけれども、五千百二十億円のうち、答弁にございましたとおり、沖縄振興自主戦略交付金ということで、沖縄分が三百二十一億円、そして北海道分、更には離島分、そして奄美分ということで約四百五億円、これを合わせると、約七百二十六億円が既に取り除かれているということでございまして、これを残った額の約四千四百億円から四十五都府県に配分されるということになりますと、部長今お話ししたとおり、宮城県の配分が想定しているよりも多くなるということは、なかなか考えにくいんじゃないか。むしろ少なくなってしまうという心配が強く出てくるんだろうというふうに思いますが、この辺の県への影響どのようになるのか、お答えいただきたいと思います。
◎(今野純一総務部長) 数字については、今高橋委員御指摘のとおりの数字で、四十五都府県分で約四千四百億ということだと理解しております。もともとが国の公共事業関係費が前年に比べて五・一%減少しているということでありますから、そういう意味では総額については、その分圧縮されているということだと思います。ただ、これは、国の方でも当然これまで事業が継続して実施されてきているということを当然配慮をしていただけるものと思いますし、新年度新規着工する分についても、これも既に予定をしているということで、国とも話をしてきているものがございますので、そういう意味では、何といいますか、妥当な配分がなされるのではないかというふうに◆(高橋伸二委員) 希望的なところだというふうに思いますけれども、土木部においては、社会資本整備総合交付金と地域自主戦略交付金、今度の一括交付金ですね、この間での事業をどのように割り振るのかというような問題があるやに伺っておりますけれども、部長、この辺はいかがでしょうか。
◎(橋本潔土木部長) 来年度予算の社会資本整備総合交付金、これは土木部は百八十七億円を積んでございます。いろいろ事務的に今国から調査の指示がありまして、一般交付金というのは、移行する事業は小区間の道路改良事業や道路の修繕、あと河川の総合流域防災事業など、年度間、地域間の変動、偏在が小さいものということであります。大体四割程度がそちらの方に移行するんでないかというようなことで作業を内々に進めているところでございます。そんなことでございます。
◆(高橋伸二委員) 土木部として、この要求額、これがその金額よりも大幅に下回った場合、さまざまな弊害、心配が予想されるんですけれども、この辺はいかがでしょうか。
◎(橋本潔土木部長) 交付金の配分額が見込みを下回った場合、先ほど申しましたような継続事業の完成、あるいは新規事業の着手がおくれが生ずるのみならず、公共施設の適正な維持管理、こういったものにも支障を来すおそれがあると考えております。また、一括交付金に移行する事業、これは比較的小規模な事業でございますので、事業執行が見送られると、地元の中小建設業への影響も懸念されるのではないかと考えております。
◆(高橋伸二委員) この一括交付金ですけれども、先ほども申し上げましたとおり、省庁からの交付補助金、こういったものを寄せ集めてつくった。結局、ひもつきを排除するというようなうたい文句ではあるわけですけれども、しっかりとしたひもが現時点でもうついている、そのような状況なのかなというふうに思いますが、どうなんでしょう、総務部長、そんな感じはしませんでしょうか。
◎(今野純一総務部長) これは先ほどから申し上げているように、まだ制度の全体が見えておりませんので、国のチェックが事前事後にどんな形で入るのかとか、その辺を見させていただかないと何とも申し上げられないと思います。
◆(高橋伸二委員) 配分額が今までの補助金でもらっていた分、これより下がるということになると、自由裁量どころではないということになります。この制度そのものがまだどのような形か見えないということもあるようでありますけれども、どうもこのまま進めていっても、ひもつきから脱却することはなかなかできないんじゃないかというふうに感じるわけでございます。したがって、この制度をもうやめて交付税で新たに措置する。あるいはそれに見合った財源を地方に移譲する。こういった形に進めていく方が民主党の進める地域主権、ひもつき補助金を排除する、こういったものにつながっていくんではないかと思いますけれども、このあたり、全国知事会などでそういった主張をしていただけないかというふうに考えますけれども、知事、いかがでしょうか。
◎(村井嘉浩知事) 地方の自主財源をふやしていく、しかも、自由に使えるような自主財源をふやしていくというのが、当然、最も望ましい姿だと知事会でも考えているということであります。今回の一括交付金は、その第一段階だというふうにとらえておりまして、これが恒常的に固まった制度となるのが望ましいと決して考えているわけではございません。知事会としては、自主財源を更に拡張していただくように声高に訴えているということでございます。
◆(高橋伸二委員) ぜひ、更に強くこの部分について知事会などで訴えていっていただきたいというふうに思います。一括交付金については、以上で終わらさしていただきます。
 続きまして、大綱の二点目、農業の振興についてでありますけれども、二十二年度のモデル事業として始まった戸別所得補償ですけれども、過日、変動部分の交付単価、これが決定されまして、いよいよ支払いが始まるという報道がなされました。十アール当たり一万五千百円で、六十キロ当たりに換算すると千七百十五円、定額部分と合わせると三千四百四十円になるということであります。仮渡金との合計は一万二千百四十円で、二十一年度の仮渡金よりも二百円安い金額、届かなかった。更に、今年度は猛暑のために米の等級が下がった。我が地域においてもそういう影響が、二等米になったという割合が高く出ていたわけでありますけれども、この部分で等級一等から二等に下がると八百円更に安くなるということですね。合計、昨年よりも千円のマイナスになってしまったと。農業者の皆さんの間では、ないよりはましだといったような消極評価や農業の振興にはこれじゃつながらないといった否定的な意見も数多く出されているようでありますけれども、知事はどのようにお考えでしょうか。
◎(村井嘉浩知事) 委員御指摘のとおり、今年度の農家に渡る実質的な収入というのは、米の価格が下がった。品質が下がったということもこれありですね、非常に苦しい厳しい状況になっているということは理解をしております。ただ、ことしのこの件だけをもって、戸別所得補償制度の今後のあり方についていい悪いと言うのは、慎重であるべきだと、このように考えております。
◆(高橋伸二委員) 今年度だけではなかなか判断できないということでありますけれども、これ何年続けていっても、制度そのものが、この制度で農業の持続的な発展を見込めるかというと、どうもそのようにはならないのではないかというふうに思います。変動部分についても、変動部分の算定の仕方が過去の販売額の平均より下回った部分ということで、米価が下がると、この変動部分もどんどん下がっていってしまう。やがて、極端な話、ゼロになるということも制度的には考えられるわけですね。そういうような制度的に欠陥があるということをまず指摘しておきたいというふうに思います。
 二十三年度は、米以外の作物、麦や大豆といった作物にもこの政策を拡大していくということになっているようであります。しかし、これも問題なんだと思いますけれども、かかる費用が膨大だということと、財源が確保されていているのか、恒久的な財源があるのかというと、必ずしもそうとも言えない状況にある。菅内閣の迷走、これもありでございまして、この制度がこれから先どれくらい続いていくのか、極めて不透明な状況にあることも事実であります。農業する皆さんの間では、この点について疑問や不安抱えている方々も少なくないというふうに伺っておりますけれども、この点についていかがでしょうか。
◎(村井嘉浩知事) 確かに、農業に携わっている方から、制度の継続性、それから財源について不安があるという声が届いております。このため、来年度本格導入されます農業者の戸別所得補償制度につきましては、意欲のある農業者が中長期的な展望を持って営農できる安定した制度にするということが非常に大切だと、このように考えております。県としては、これまでも国に対しまして、安定的な財源の確保と長期にわたり継続されていく制度になることについて提言をしております。北海道東北知事会においても提言をしているということでございまして、今後も強く国に要望してまいりたいと考えております。
◆(高橋伸二委員) ぜひお願いしたいというふうに思います。
 また、平成二十三年度、来年度は農業農村整備費ですけれども、二千百二十九億円、対前年比で見ると一〇〇%ということになっておりますけれども、このもとが平成二十一年度から比べると、平成二十一年度は五千七百二十二億円あったわけでありまして、三六・九%にしかなってない。六三・一%減ということになりますね。落ち込んでいるという状況から考えると、この予算の大幅減額という状況には何もこれは変わっていないということであります。国の農林水産省予算二兆二千七百十二億円、これが総額ということになっておりますが、対前年比、これも下がって、前年比九二%です。厳しい農業情勢を打開するには、これからTPP云々という話も今回の県議会の中でも取り上げられておりますけれども、そういった状況を打開していくには、非常に予算措置としては、厳しい状況にあるんではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
◎(村井嘉浩知事) 持続的な農業生産、そして生産性の向上を図るためには、その下支えとなります農業生産基盤の維持整備を行う農業農村整備事業は、必要不可欠であります。平成二十三年度の国の農業農村整備対策に係る予算額は、委員御指摘のとおり、前の年が、今年度が非常に下がったということでございますので、それと同額にとどまっているということは、つまり大変厳しい状況が続いているということであろうかというふうに認識しております。農業を取り巻く情勢は待ったなしの情勢となっております。また、TPPという新たな話題も出てまいりました。農業農村の整備、こういったようなものには注力していかなければならないと、このように認識しております。
◆(高橋伸二委員) 知事おっしゃるとおり、大変厳しい状況にあるんだろうと思います。しかし、土地改良事業というのは非常に重要だというふうに私は考えております。皆さん同じ考えだというふうに思いますが、この農地の汎用性の確保あるいは耕作放棄地の拡大の防止、環境を保全するといったような多面的機能を強化する上において、更に、宮城県の農業を持続可能な足腰の強いものにしていく、このためにはどうしても必要不可欠な事業であるというふうに考えますけれども、改めて、その意義どのようにお考えか、伺いたいというふうに思います。
◎(村井嘉浩知事) 圃場整備、また、かんがい排水事業などの農業農村整備事業は、水田の有効利用による麦、大豆などの生産の拡大や、水田の大区画による生産コストの低減など、農業者が安心して農業生産に取り組み、県民へ安全安心な食料を安定的に供給していくための重要な施策だというふうに認識をしております。また同時に、県土の保全、自然環境の保全といった我が県の農業・農村が有する多面的機能の持続的な発揮、更には委員御指摘の農村コミュニティーの維持発展にも資するものと考えております。
◆(高橋伸二委員) そのような考え方のもとにぜひ事業を進めていきたいものだというふうに考えておりますけれども、宮城の土地改良予算に目を移してみますと、平成二十一年度当初百八十億四千二百万円、平成二十二年度当初は百十六億一千万円で対前年比六四・三%、これも大きく減額されました。昨年は、九月の補正予算で国保留分と追加分を合わせると累計百四十三億六百万円。対前年比七九・三%。更に十一月の補正予算で二十六億五千九百万円が追加をされまして、累計で百六十九億六千五百万円、対前年比九四%となり、県の事業はおおよそ計画どおりに遂行することができたというふうには伺っております。
 しかし、その陰で、例えば水土里ネットの役員の皆さんであるとか、関係者の多くの方々が国に対して陳情を行ったというふうにも聞いております。陳情の一元化などということもありまして、どうしていいのかわからなかったというようなところもあったようでありまして、大変な御苦労をなさったというふうに聞いております。最終的にほぼ前年どおりということなのであれば、最初からきちっと予算措置をして、関係者の要らぬ不安をあおったり、いたずらに時間を浪費させたりということがなかったのではないかというふうに思います。民主党の言う地域主権改革、国に陳情をしにきたから、足してやるというようなふうにどうしても見えてしまうんですね。これ、地域主権改革とは全く逆行してるんじゃないかというふうに感じますけれども、この点についてどのような所感をお持ちか、伺います。
◎(千葉宇京農林水産部長) 二十二年度の農業農村整備事業は、委員おっしゃるような経緯の中で、何とか前年並みの予算を確保できて計画どおりの進捗が図られたということでございます。それに至るまで、まさに委員がおっしゃったような経緯というものがございました。大変我々としても苦労をしたというふうな思いをしております。二十三年度、それに輪をかけてといいますか、どうもその先行きが見えないところがあるわけございます。二十二年度の予算も、従来補助金とそれから農業農村地域整備交付金と財源が二本立てになって同じカテゴリーの事業に投入されたということですけれども、それでも、おっしゃったような、どこに陳情していいかわからないとかそういうようなことがあった。それが二十三年に至っては更に地域自主戦略交付金ということで、同じカテゴリーの事業に同じ系統のやつが財源的に三ルートに分かれるということになりまして、必要な総額というものをどういうふうにして確保するのかということについては、ますますちょっと混迷してくるという、そういう事態でございます。我々としては、できれば非常にシンプルな形が望ましいというふうには思うわけではございますけれども、とにかくそういうような余計な混乱をせずに、必要なところに必要な予算を確保できる、そういう仕組みにぜひしていただきたいなという思いは強く持っております。
◆(高橋伸二委員) 大変混乱したというお話でありますけれども、更に来年度、二十三年度は農山漁村地域整備交付金、それと先ほど言った一括交付金の関係で、農水省に行ったらいいのか、あるいは総務省に行ったらいいのか、どうなんだろうというところがまた心配されるんじゃないかと、そういう話だと思いますけれども、この農山漁村整備地域交付金、平成二十二年度宮城県の配分は二十二億円だった。うち、土地改良事業の配分は、その半分の十一億円だったというふうに伺っておりますけれども、平成二十三年度の農山漁村地域整備交付金、これの総額が三百十八億円しかない。昨年は一千五百億円だったんですけれども、来年度の農山漁村地域整備交付金に三十八億円を県としては見込んでいるということを伺っておりますけれども、この農山漁村地域整備交付金から一括交付金に拠出されている千九十億円、この配分が仮に県の要求額を大きく下回るということになると、我が県の農業農村整備事業は滞ってしまうということにつながるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
◎(千葉宇京農林水産部長) 二十三年度予算、先ほど総務部長等からも御説明しましたように、地域自主戦略交付金、これのスキームの詳細がわからないというようなところで、どれぐらい見込めるのかということについては本当に雲をつかむような、そういうような状況になっております。その中でも、農山漁村地域整備交付金三十八億円、今のところ計上させていただいているわけでございますけれども、そのうち農業農村整備事業には二十九億円を充てるということにしてございます。これは地域自主戦略交付金からも要するに確保してということなので、今のところ仮置きというような、そういうような形でございます。これが見込みのとおりに確保できないということになれば、おっしゃるように、新規地区の採択でございますとか、計画している事業の確保ができないだとか、いろんな影響が出てくるということで大変心配しているところでございます。
◆(高橋伸二委員) もしそうなってしまった場合、これはどのように対応することになるんでしょうか。
◎(千葉宇京農林水産部長) 先ほども申しましたように、とにかく何とか確保するというようなことで、配分額の拡大というものを強く要望していく、それが第一かと思いますけれども、先ほど言ったような状況の中から、要望する仕方もなかなか難しいなというところがございます。その見込み額どうしても確保できなかったという、そういうような場合につきましては、やはり継続地区の工期の延伸でございますとか新規地区の着工が厳しくなるとか、そういったことがあるわけでございますが、そういったものをできるだけ影響を少なくするというようなことで、事業の執行に当たっての工事の優先順位づけとか、更なるコスト縮減とか、そういったことを効率的に行っていくという、そういったことになろうかと思われます。
◆(高橋伸二委員) 事業の縮減とかコストを下げる工夫とか、これはもうやるくらいやっている部分があるのではないかというふうに思いまして、これ以上この予算を削られるということになると、先ほども言いましたとおり、農地の汎用性を高める、あるいは農地の重要性を考えると、もうこれ以上は無理なのではないか。何としても県としての要求額を確保しなくてはならないというふうに思いますけれども、ぜひそのような考え方で国に対して要望を訴えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、宮城米広報宣伝事業費ということでございますけれども、これを拝見しましたら、JA−−農協ですね、全農みやぎ等の米穀販売団体との連携のもとに、知事による宮城米トップセールスを初めとする県外大消費地における宮城米販売促進活動を展開するということになっているようでありますけれども、現時点でどのような事業が想定されているのか、伺います。
◎(村井嘉浩知事) 県外大消費地における宮城米販売促進活動の展開といたしましては、東京、名古屋、大阪の消費者や量販店等を対象に、広報宣伝、販売促進などの取り組みを予定をしております。
 具体的には、新たにテレビコマーシャルの放映、航空会社の機内誌等への広告掲載、飲食店や量販店でのフェアの開催などを検討しているほか、私自身によるトップセールスも臨機応変に行いたいと考えております。これらの事業を中心に、関係機関と連携を密にしながら、宮城米の一層の販売促進に取り組んでまいる所存でございます。
◆(高橋伸二委員) ぜひ知事には先頭に立って頑張っていただきたいと思いますが、いかに笑顔がすてきな村井知事とはいえ、全国レベルかいうことになると、申しわけないけれども、なかなかそうではないような状況にもあるんだろうと思いますけれども、そうはいっても、何事も知事が先頭に立つということは非常に大事だというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 新潟県においては、新潟コシヒカリを普及させるために、新潟県内の旅館あるいはホテルなどの宿泊施設や飲食店等で新潟県内産コシヒカリの使用を徹底したというふうに伺っております。新潟県を訪れた方々に本物のコシヒカリを食べていただく機会を数多くつくり出し、そして、訪れた方々が結果的にコシヒカリのおいしさを広報してくれるということになったそうであります。今のコシヒカリの地位を確立するに大きな力となったというふうに聞いております。宮城県においてもそのような方法はとられているとは思いますけれども、宮城県産米は県内の旅館、ホテル、飲食店等でどの程度使用されているのか、とても気になるところでございます。どの程度使用されている分があるのか、あるいは宮城県産米の使用促進はどのように行われているのか、伺いたいと思います。
◎(千葉宇京農林水産部長) 実際ホテルとか旅館、そういった宿泊施設でそこの現地のおいしいお米を提供し、それを仲居さんとかが口コミで宣伝を図る、そういう宣伝効果というのは非常に大きいものがあると思います。宮城県内の旅館宿泊施設等で宮城米がどれだけ使われているかという実数はなかなか把握し切れないところがございますけれども、宮城県では宮城米マーケティング推進機構、知事が会長でございますが、ここで実施しているおいしい宮城米米飯提供店という仕組みがございます。旅館とか飲食店で宮城米を提供しているところでは、その旨を大きく表示をして、そうしてPRをしていただくということなんですけれども、そういう指定店の数が、宿泊施設においては五十六施設、それから飲食店では百十八店舗、これを提供店として指定しております。まだまだ本当に足りないと思います。これをどんどんどんどん拡大していくという、そういうような努力をやっていきたいというふうに思ってますし、それから、県内各種イベントでの試食やサンプリング、広報誌の活用とか、そういったようなことを通じまして、宮城米の消費拡大PR、これをどんどん積極的に展開してまいりたいというふうに考えております。
◆(高橋伸二委員) 今お答えいただきましたけれども、宿泊施設で五十六、飲食店で百十八という数字が把握されている数字ということでございますけれども、宮城県内、どれだけ宿泊施設、飲食店があるかわかりませんけれども、まだまだ数字的にはごくわずかというふうに見られると思います。これをどんどん拡大していく。そして、本当の宮城のお米、これを食べていただく。そうしたことによって、食べていただいた方々は、宮城県に行って米を食べたら本当においしかったよと。この米、どこのお米なんですかって聞いたら、宮城県でとれたお米です。ひとめぼれですというふうに言われたと。あるいは、大きく掲示されていたということがありますと、地元に戻った方が、宮城県の米、すばらしいねというようなことを言い伝えていただけるんではないかというふうに思います。私も県内いろんなところを、飲食店あるいは宿泊施設行きますけれども、なかなか掲示されていること自体に気づいていない。気づかないでいるわけですね。だから、まだまだそういう意味ではPRが足りないのではないかというふうに思いますので、ぜひ、この辺の推進方お願いしたいというふうに思います。
 第二期のみやぎ食と農の県民条例基本計画を拝見しますと、県民の食、農に対する理解の向上と参画の推進、これが掲げられています。先ほど申し上げましたとおり、宮城県内の宿泊施設や飲食店、そして、何よりも、県民が総参加によって、宮城の農、そして食を支え、充実させていくという意識を持っていただく。それを推進する。これが大変重要になってくるのではないかというふうに考えます。農業が充実すれば、宮城県内の経済の底上げにこれは当然つながっていくということになりまして、他産業にも大きく波及効果が出てくるというふうに思われます。県民こぞって宮城米を食べて、そして飲食店や旅館などでは宮城米を使用しているんだということをもっともっと大きくPRをして、宮城県を訪れた方々に本当の宮城米のおいしさ、これを知っていただく。そして、訪れた方々がリピーターとなる。あるいはネット上、そして更には口コミでどんどん広げていただく。それが宮城の米のブランド力を大きく高めていくことにつながる。そして、消費拡大に大きく貢献するんではないかというふうに考えておりますけれども、この辺について御見解を伺いたいと思います。
◎(千葉宇京農林水産部長) 本当に御指摘のとおり、多くの宿泊施設とか飲食店、あるいは県民が宮城米を使用評価するというようなことで、結果として宮城米を全国へ発信することになり、消費拡大にもつながっていくという、そういう思いを強くしております。
 先ほど、宮城米の提供店、旅館、宿泊施設について、今のところ五十六施設だということを申しました。母数どれぐらいあるのかということ、これは宮城県の観光統計情報なんですけれども、ホテルが百七十五軒、旅館が二百七十四軒というふうにあるそうですので、まさにまだまだ足りないという思いがしますので、この辺力を入れて拡大していきたいと思います。
 それから、鳴子のゆきむすびですとか七ヶ宿の源流米とか、そういうような地域ぐるみで独自の米を生産して独自のネットワークで県内外に普及を図っていくという、そういうような取り組みもありますけれども、これもまた全国へ宮城米を発信する重要な要素になろうかと思います。そういうようなことから、先ほどお話ししました宮城米マーケティング推進機構、そういった関係団体と連携を図りながら、さまざまな機会をとらえまして、宮城米の広報宣伝あるいは消費拡大、こういったものに努めてまいりたいと思います。
◆(高橋伸二委員) ぜひこの宮城米をもっともっと大きくPRをして、販売の拡大につなげていただきたいというふうに思います。
 次に、宮城米産地強化対策費というふうな項目がありましたけれども、百九十万四千円の計上がなされておりましたが、これで生産振興を図っていくということでございますけれども、具体的にどのようなことなのか、お示しいただきたい。
◎(千葉宇京農林水産部長) 予算書にあります宮城米産地強化対策費百九十万四千円でございますけれども、これは実需者のニーズを的確にとらえた米づくりを実現するということを目的に、試験場等で試験研究、それからの普及展示、そういったことやっているわけでございますけれども、そういったものに要する経費ということでございまして、宮城米の販売拡張の経費というのはまた別のところに予算化してあるということでございます。この経費、具体的には、今回は一等米比率の向上と食味の向上というものが、ことしの状況の中からも強く求められているということから、環境保全米における疎植栽培あるいは晩生品種の実証展示、そういったものを行って、食味向上のためのマニュアルを作成するという、そういう経費が一部含まれております。それからあと、低コスト・省力化技術として期待されております水稲の直播栽培、直まき、これを安定的に行う技術開発とか研修会の開催、実証展示、そういった経費がこの中身でございます。
◆(高橋伸二委員) ぜひそういった形で産地強化対策を図っていただきたいというふうには思いますけれども、先日、農協関係者にお話を伺ってきたんですけれども、ササニシキのよさが見直されている。消費者の間からも、これは非常に人気が高いんだそうでありまして、市場においても品薄状態にあるんだというふうに伺っております。やはり売れるものをつくる、ニーズに対応したものをつくっていくことによって、販売拡大につながっていくのではないかというふうにも考えております。しかしながら、寒さに弱い、倒伏しやすい。更には、いもち病に弱いなどという栽培しにくいというふうことがあって、平成五年の大冷害もあり、作付が一気に減少したんだというふうに農協関係者お話ししておりましたけれども、しかし、そのような中、石巻地域では積極的に作付がなされているんだというふうな現状であるというふうに伺っております。改めて、この県内でササニシキ栽培に適する県北地域を中心に作付面積の拡大、これを推奨していってはどうかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
◎(千葉宇京農林水産部長) おっしゃるように、ササニシキ、ひとめぼれが出てくる前には宮城県の主力品種だったわけでございます。それで、ひとめぼれがぐんと伸びたという、そのあおりを食らってということもあるんですけれども、おっしゃるように、耐冷性が低いというようなことから、なかなか栽培が難しいということから、現在、作付割合としては八・七%になってございます。ただ、実際、ササニシキ、今、全国的に粘りの強いコシヒカリ系の品種、これが珍重されているわけですけれども、ひとめぼれもその系統の米なんですが、ササニシキはそうじゃなくて、意外とあっさりとした食感、それが人気を呼んで、特にすし米などに適するというようなことで一定の根強い人気があるということでございます。寒さに弱く、倒れやすいという、そういう特性があるんですけれども、それを補うための基本技術の励行、具体的には晩生栽培と組み合わせるとかということをやって、ササニシキをうまくつくるというその技術的な研究というものも進んでおりますので、そういったことから、ぜひそういった技術支援を行いながら、県北地域が中心になるかと思いますけれども、作付面積の一〇%ぐらいまでは広げていきたいというような目標を立ててやっているところでございます。
◆(高橋伸二委員) ぜひこういった地域的に細かく栽培する品種を分けていくということは大変重要なのではないかというふうに考えておりまして、仙北地域ではササニシキを進めていただく。あるいは鳴子ゆきむすび、七ヶ宿やまのしずく、仙南地域ではひとめぼれ、更に新たに推奨品種となったつや姫などということで、地域を分けて、栽培作付を進めていくということが重要なのではないかというふうに、農協関係者の話ではそういうふうに指摘をされている部分がありますので、ぜひそういった方向で進めていただければというふうに思います。そのササニシキの後継品種ということだそうでありますけれども、東北百九十四の愛称というんですか、これが「げんきまる」に決まったというふうに伺ったんですが、これは本当なんでしょうか。
◎(千葉宇京農林水産部長) 今、古川農試の方で品種改良して、品種登録をしようとして温めている候補品種というのが三種類ぐらいあるんですけれども、委員今お話しになりました百九十四号というのは、まだ名前をつけてない。もう少し先にデビューをさせる。非常に今大切にどういう売り出し方をしたらいいかというようなことを研究している品種でございます。
 「げんきまる」というのは、これは東北百八十九号−−先行して開発していた品種でございました。こちらはひとめぼれの後継品種という位置づけではなくて、これもちょっとうろ覚えで申しわけない、高アミロースか低アミロースかどっちかということで、意外とぱらっとしたお米で、ピラフだとかそういったものに合うという、そういうお米でございます。そして多収品種ということで「げんきまる」という名前でございまして、これはどちらかというと、まなむすめの後継というか、そういうような位置づけのお米でございます。
◆(高橋伸二委員) ちょっと私の聞いた情報が定かでなかったということだと思いますけれども、もし「げんきまる」という名前だとすると、これで本当に売り出せるのかなというふうに感じたもんですから、お話しをさせていただきました。
 用意した質疑項目、ちょっと残してしまいましたけれども、時間になってしまいましたので、以上で、私の質疑を終了させていただきます。
 ありがとうございました。


▲TOPに戻る