宮城県議会議員 高橋伸二

一般質問議事録

平成21年06月 定例会(第323回)-06月23日−02号

◆八番(高橋伸二君) 自由民主党・県民会議の高橋伸二でございます。最後までよろしくお願いいたします。
 昨年八月八日、柴田町・村田町・大河原町合併協議会が設置され、これまで八回にわたり合併に関する協議がなされてまいりました。しかし、本年四月二十七日、柴田町議会において、柴田町・村田町・大河原町合併協議会からの離脱に関する陳情書が採択され、同日付で、柴田町町長は、合併協議会からの離脱の申し入れを会長あてに行いました。これを受けて、地方自治法第二百五十二条の六の規定により、三町長間でこの問題が協議され、三町それぞれの臨時議会を開催した結果、合併協議会の廃止について手続が調わないことから、五月三十一日付で休止することとなりました。
 これまで、合併協定項目五十四項目中四十八項目の協議が終了し、いよいよ新市基本計画が議論のテーブルに上り、合併後の新しいまちづくりについて活発な議論がなされ、地域の将来像を描き、三町住民にその内容について御理解をいただいた上で、合併の賛否を問う住民投票がこの七月に行われようとしていたそのやさきの出来事に、三町合併を成就させて新たなまちづくりに着手し、五十年後、百年後の将来にわたって充実した活力と安らぎのある地域の確立を進めるための合併を推進する多くの地域住民は失望しました。
 今回の合併協議会は、宮城県内では初めての住民発議によるもので、その成果に大きな期待が寄せられていました。この三町間には既に生活の垣根は存在せず、地域住民は、町の境界線を意識することなく、通学や通勤、買い物、レジャー等で絶えず往来しています。町境を挟んで親戚同士の交流も非常に多く、三町が一つの生活圏内にあることは、多くの方々が認めるところであると思います。小学校や中学校の生徒までもが町の境を越えて通学しているのです。他の団体の状況を見てもわかるとおり、みやぎ仙南農協は、もう既に仙南二市七町の広域合併を実現して十一年目を迎えており、着実にその成果を上げています。商工会も三町間の広域連携を強化し、一体となった運営を行っており、行政だけが分かれている状況になっています。
 今回の合併が実現すれば、百五十七平方キロメートル内に七万五千人の人口を有する市が誕生することとなり、コンパクトで質の高いまちづくりを進められるはずでした。そして、山積している課題解決に向けて第一歩を踏み出すことができるはずでした。行政において、一円たりともむだな支出があってはならないという考え方に異を唱える人はいないと思います。現在、三町それぞれが三町別々に同じ内容の行政運営を行っています。これを一つにすることにより行政コストが削減され、職員の方々も集約されます。その分を子育てや社会保障など別の分野に充当したり、専門的な知識を備えた職員を育成し、より高度な行政サービスを提供することができれば、これは、間違いなく住民の幸せな生活につながっていくのだろうと思います。それに対しても否定する人はだれもいないと思います。それならば、なぜ三町合併に対して反対なのだろうか。私は、思い悩んでしまうのでございます。
 今後、この地域の産業集積においても三町合併は有効で、今後、知事の富県戦略による企業誘致が加速すれば、自治体間における企業の誘致合戦となっていくことでしょう。県土の均衡ある発展を考える上においても、決して三町がおくれをとってはならないのです。
 柴田町のある誘致企業の幹部の方にお話を伺うと、新たに企業の誘致を進めていく上において、相手に好印象を与えるという意味においても、市町村合併は大変重要になってくるとのことでした。企業誘致を促進するという観点からも、合併は必要不可欠だというのでございます。
 地方分権改革推進法に基づく地方分権改革推進委員会は、自治立法権、自治行政権、自治財政権を有する完全自治体を目指す地方政府の樹立という理念をもう既に打ち出しております。今回の三町合併は、それを実現し、新しい日本のかたちを創造するための手段だったはずであります。それは、まさに私たち地域住民における自立する自治体をつくり上げる絶好の機会であったはずなのです。そして、子供たちや孫たちに自信と誇りを持って確実にこの地域を継承していくための中核となる都市を創造していく責任が私たちにはあるのです。
 最近、私の考えは間違いなのだろうかと思い悩み、眠れない夜を重ねているのでございます。今後、地方分権が更に進展するにつれて、三町が取り残されはしないか心配でならないのでございます。何とかしてください。知事に訴えてもどうにもならない問題だと思いますが、あえて質問いたします。
 柴田町、村田町、大河原町の合併協議会は休止となりました。柴田町議会選挙の結果、これを民意として柴田町の離脱となりましたが、しかし、一方で、住民発議による集まった署名簿の数は、柴田町九千四百五十一、村田町三千四百一、大河原町四千八百五十七、合計一万一千七百九人分、有権者に対するその割合は、柴田町が二九・七%、村田町三二・八%、大河原町二五・五%となり、約三割に上る方々がこれに賛同し、署名しました。これも、やはり大切な民意ととらえるべきで、潜在的に合併推進の考えを持っている住民は多数存在することが容易に推察できます。これについてどのような感想をお持ちか、知事の所感をお聞かせください。
 今回休止となった合併協議会ですが、今後、情勢等の変化により、仮にこれが再開された場合、県としてはどのような対応になるか、お聞かせください。
 次に、合併反対の方々の主張の中で多かった議論について、確認の意味で幾つか伺います。
 合併することにより、地方交付税が大幅に減額され、財政規模が縮小し、よって住民サービスが合併以前と比較して低下するとのことです。合併効果による行政コストの削減について考慮されていない議論ではないかと思われます。いかがでしょうか。
 学校等の公共施設建設が、合併によって、国や県からの行財政改革の押しつけや交付税の削減により先送りされるという意見がありますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
 中心部の病院に機能を集中させ、周辺部は無床化、診療所化されてしまった例があるというお話をする方がいます。合併効果により診療所としての機能を残すことができたという考え方の方が正確ではないかと思われますが、いかがでしょうか。
 これに対し、合併することによるさまざまな効果が期待できますが、何点か伺います。
 日常生活圏の拡大に即した行政区域ができ、十分な公共サービスを提供できる体制が整うため、住民の利便性が格段に向上することが期待できますが、いかがでしょうか。
 仕事に投入できる人的資源を生かした行政力のアップ、経費削減効果とスケールメリットによる財政力の強化により、公共サービスの多様化、高度化が期待されますが、いかがでしょうか。
 地域的な視点に立ったまちづくりや土地利用、地域の特性を生かした合理的な都市計画など、トータル的なコーディネートのもと効果的な振興策が可能になるほか、地域の課題についても大きく踏み込んでいけると期待されますが、いかがでしょうか。
 三町においてそれぞれ行財政改革が進められてはいますが、合併により更に行財政基盤が安定し、効率的な行財政運営ができると考えますが、いかがでしょうか。
 新市の誕生により、地域の存在感やイメージアップにつながり、県南をリードする中核的都市になる可能性が高いなど、間接的にさまざまな効果が期待されます。見解を伺いまして、次の項目に移ります。
 日本全体の病床数は、一九七三年に老人の医療費が無料化されて以来急増しましたが、その後の第三次医療法改正により、療養病床への転換が推進されたため、一般病床数はピーク時より減少して、現在は、日本全体でおよそ九百万床と言われています。しかし、近年の在院日数は、三十年前から比較するとおよそ半分程度になってきているため、人口が増加していることや高齢化が進行していることを考慮しても、九十万床の一般病床数は、患者の数に対してかなり過剰な状態であるということが言えます。先進国間の国際的な比較においても、やはり過剰な状態にあることがわかります。更に、現在、全国のほとんどの病院で病床稼働率の維持に苦慮していることからも明らかであり、特に、自治体病院では、病床稼働率が七〇%以下の病院が全体の三分の一であることが実態を的確にあらわしていると言えます。
 このような背景から、現在の我が国の一般病床数は、後方を支える亜急性期、回復期、慢性期、あるいは居宅系介護施設が整備されたと仮定されれば、四十五万から六十万床程度が適当ではないかと言われています。
 仙南医療圏に目を転じますと、その人口は約十九万人で、仮に全国で必要な病床数を六十万床と仮定した場合、人口比率からすると、仙南医療圏で必要とされるその数は、八百七十床程度が必要ということになります。現在は、公立刈田綜合病院とみやぎ県南中核病院でおよそ六百床、更に、大泉記念病院で約百床、その他、川崎病院、蔵王病院、丸森病院などの公立病院で合わせて百床、船岡の今野病院、角田の金上病院、仙南病院などで約八十床程度で、これらを合計すると八百八十床となり、その他の診療所を除いても、既に全国レベルの一般病床は確保されていることがわかります。
 刈田病院がカバーしている白石・刈田地区では人口は約五万人で、全国で九十万床を必要と仮定した場合の計算でも、三百五十床程度で十分という結果となります。これは、刈田病院と大泉記念病院の病床数の合計を下回っており、仙南地域は病床数が足りなくなるという心配をする必要はなく、逆に過剰を考察する必要があることが伺えます。
 実際の病床利用状況を調べてみると、今よりも在院日数が長かったと思われる平成十七年度の実績でも、刈田病院とみやぎ県南中核病院の入院患者数は、年間を通じて合計四百六十人程度、つまり、少なくとも常に百床以上が利用されていないということになります。その原因を調べてみると、一つは、川崎町と柴田町などでは、仙台市の医療施設を利用する場合が多いことが挙げられます。更に、仙南地域のがん患者が名取市にあるがんセンターを利用しているのもその原因と言えます。これらについて考えると、仙南医療圏に必要な病床数は更に少なくていいということになり、がんセンターの入院患者の四五%が仙南地区在住の方々であることを考えると、仙台から遠い県北部や石巻地区等とは事情がかなり異なると言うことができます。更には、空き病床を減らそうと在院日数を延長することは、病院経営指標を悪化させることにつながるため、退院できる患者には退院してもらう傾向が広がってきたことも病床過剰の一因なのだと言います。
 更に、考慮する点としては、仙南医療圏において、後方の回復期病床、緩和病床等が不足しているため、現時点では、急性期病院、つまり刈田病院やみやぎ県南中核病院において、本来の回復期に移行すべき患者の多くが一般病床に入院せざるを得ない状況にあるといい、結果として、在院日数が延長されてしまうことにつながっています。したがって、もし百床程度の回復期病床が仙南医療圏に確保されることになれば、それぞれの病院で急性期が落ちついた患者については、そのような病床へ移動することが可能となり、一般病床の在院日数や病床数を減らすことができるのです。
 一方では、利用者にとって、より魅力的な病院が仙南医療圏に確立されれば、これまで、仙台方面の病院やがんセンター利用を考えていた患者が、その病院を利用する割合が高くなる可能性も十分に考えられるため、必要病床数が増加することも考えられますが、それ以上に、回復期リハビリ病床を充実させることによる一般病床の必要数を減らす効果は大きくなると言えます。
 以上を踏まえ、以下、質問いたします。
 宮城県の地域医療計画における医療圏ごとの必要と考えられる機能分化及び連携強化のあり方によると、みやぎ県南中核病院及び公立刈田綜合病院の両病院間の機能分化及び連携強化について、経営形態の見直しを含め検討する必要があるとありますが、両病院の現状について県としてどのように認識しているのか、お示しください。
 また、昨年九月定例県議会の一般質問でも取り上げましたが、両病院が安定的な医師確保、質の高い医療提供の体制を築く上で、両病院間の連携強化はもちろんですが、組織を統合し、機能分担を進めることがやはり重要になると考えます。去る六月十一日に発表されたみやぎ県南中核病院改革プランの再編、ネットワーク化の計画概要及び当該病院における対応計画の概要の中でも、平成二十一年度から、再編・ネットワーク化の方向性や協議体制について検討することとし、平成二十五年度を目途に、刈田病院と機能分化、集約化を目指すとの考えが明記されています。これを推し進めるには、両者に任せっ切りにせず、第三者の後押し、つまり、知事が強い指導力を発揮することが実現への近道ではないかと考えられますが、いかがでしょうか。
 もう一つ付加すべき機能として、回復期リハビリテーション病床の設置が必要であるとなっておりますが、この機能強化を推進することにより、前述した空き病床を解消し、利用率を向上させていくことで経営の健全化という課題克服につながるのではないかと考えられますが、県としては現在どのような対応になるのか、お示しください。
 日本における死因の第一位は、やはりがんであり、厚生労働省の人口動態調査によれば、全国で年間約三十三万人が亡くなっています。我が県においても、やはり死因の第一位はがんであり、昭和五十九年以降連続しています。現在では、全死因の三分の一を占め、年間約六千人もの方ががんで亡くなっています。新たにがんにかかる方は、国全体で約五十九万人、我が県においては約一万二千人、厚生労働省の推計では、一生涯でがんにかかる可能性は、男性の二人に一人、女性の三人に一人となっています。この議場にいる皆さんのうち、半分近くはがんにかかることになります。早期発見のために、皆さん定期検診をきちんと受けていただきますようお願いいたします。
 宮城県がん対策推進計画では、いかにしてがんによる死者を減少させ、すべてのがん患者とその家族の苦痛軽減並びに療養生活の質の向上を目標としてさまざまな取り組みがなされているところであり、関係当局の皆様の御努力に感謝を申し上げる次第でございます。そのような中ではありますが、課題の一つとしては、やはり県内のがん医療の均てん化を今後どのように推し進めていくのかということではないかと考えます。
 そこで、お尋ねします。
 宮城県では、二次医療圏において、おおむね一カ所程度、がん診療連携拠点病院を整備するという目標を掲げています。未整備の四つの二次医療圏について、いかにしてこの目標を実現させようとしているのか、県としての考え方をお示しください。
 みやぎ県南中核病院改革プランによれば、平成二十四年度にライナック(放射線治療装置)を導入し診療開始を目指すとしています。更に、医師の増員に伴う内視鏡室の拡充、外来化学療法室の新設、救急外来室の拡充、リハビリテーション室の拡充、会議室、医局の整備を図ると記されております。今年度からは、放射線療法、化学療法に携わる専門医の配置や、緩和ケアチームの身体症状の緩和に携わる専門医の配置が必要になって、がん診療連携拠点病院への指定は要件が厳しくなり、難しい状況にあるとされています。しかし、仙南医療圏にほど近い名取市にがんセンターが立地しているとはいえ、将来的ながん患者の増加や放射線治療を受ける患者の増加を考えるとき、がんセンターだけでは対応し切れなくなるとの指摘もあることから、仙南医療圏にがん診療連携拠点病院の整備は必要不可欠と考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 さきに国会で成立した平成二十一年度厚生労働省補正予算の概要によると、地域医療の再生に向けた総合的な対策基金として三千百億円が盛り込まれています。救急医療の確保、地域の医師確保など、地域における医療の課題を解決するため、都道府県が二次医療圏を単位として策定する地域医療再生計画に基づく事業に対して、都道府県に地域医療再生基金(仮称)を設置して、財政の支援を行うという内容になっています。そのメニューの中には、地域内において医療機関の機能強化、機能役割分担を進めるための連携強化となっており、計画の対象地域は二次医療圏が基本だが、ただし、周辺の地域を含めるなど柔軟な設定が可能。二十五年度末までの複数年にわたる取り組みを支援。県ごとに地域の実情に応じて自由に事業を決定。施設・設備の整備費、運営費ともに使用可能。医師確保事業等の県全体で実施した方が効果的な事業については、県全体を対象として実施することも可能といった計画に対して、一地域につき十カ所以内百億円又は三十億円を上限に配分。補助率は設定しておらず、県に一律に新たな負担は求めない。新規・拡充ならば、国庫補助事業の地方負担分への充当も可能といった予算の内容になっています。宮城県へは六十億円程度配分されるのではとの見方もあり、今回の補正予算を活用することにより、がん診療連携拠点病院の指定を目指すみやぎ県南中核病院の放射線治療装置の導入等の事業を強力に後押しすることができるのではないかと考えますが、知事はどのようなお考えか、お聞かせください。
 更に、仙南医療圏はもとより、他のがん診療連携拠点病院未整備の医療圏にも同様な事業が展開できるのではないかとも考えられますが、県としてはどのように対応する用意があるのか、お聞かせいただきます。
 次に移ります。
 昨年七月、私たちは、柏佑整議員を調査団長として、ブラジル・サンパウロの空港におり立ちました。そこは、まさに人種のるつぼであり、この国の圧倒的なスケールと秘めたる無限の可能性を感じさせられました。面積は世界で五番目に大きく、日本の約二十三倍、アラスカ、ハワイを除いたアメリカ本土よりやや大きく、ヨーロッパ全体の約二倍と、広大な国土を有しています。
 日本とブラジルとの関係は、一八九五年、明治二十八年十一月五日に、フランス・パリにおいて締結された日伯修好通商条約により開始されました。昨年、二〇〇八年は、日本人が笠戸丸でブラジルの第一回移民七百八十一名が神戸港を出向し、六月十八日にサンパウロ州サントス港に入港してからちょうど百周年を迎える記念の年でありました。我が宮城県からも数多くの県民がブラジルへ移住し、多くの試練、苦労を乗り越えて広い分野で成果、実績を重ね、今日に至っております。ブラジル宮城県人会設立からは五十五周年を迎えており、柏団長を初めとする調査に参加した六名の議員にとりまして、今後の宮城県と県人会のあり方や、宮城県とブラジルとの友好関係をどのように深めていけばいいのかを考える大変貴重な機会となりました。
 ブラジル宮城県人会設立五十五周年式典において、中沢会長ほか県人会役員や会員の方々との意見交換の中で、海外移住者敬老金のあり方について、昭和四十八年から補助金として支給され、支給年齢の引き下げが行われた一方で、一人当たりの支給額は、開始当初より大幅に引き下げられています。既に、平成二十年度の支給を最後に、今年度からは支給は全廃されており、受給される側としては、母国から当然に支給される敬老年金との意識が強かったとのことでしたが、近年は、ブラジル国内における年金受給割合は一九六〇年代の六割台から、現在は、ほぼ全員に行き渡っていることから、支給継続を強力に求める意見はありませんでした。しかし、代替的な措置として、県人会会員の家族構成が、移民二世から四世への構成割合が高まっていることから、今後、母国・宮城との交流が希薄にならないように、県人会活動に対する支援強化について要望されております。
 現在、海外八県人会に県からの助成が行われている中で、会員数が多いブラジルはその配慮がなされてはいるものの、割合から見ると、まだまだ不十分と思われますが、いかがでしょうか。
 海外技術研修員の受け入れ事業は、昭和四十八年度に始まり、県人会の子弟一人から二人を受け入れています。研修受け入れの産業分野は、希望によって多岐にわたり、受け入れ機関も産学官を問わない状況です。これには、技術習得のみならず文化交流などの機会も設けており、日本や宮城について深く知ってもらうこととしています。ブラジルにおいては、多くの産業分野で日本の技術力が高く評価されていることから、事業の継承、強化を望む声が強いと感じられましたが、今後の対応はいかがでしょうか。
 最後に、地域の道路網整備について質問します。
 県道蔵王大河原線は、大河原町役場と蔵王町役場を最短で結ぶルートとして交通量も非常に多くなっています。大河原町金ケ瀬地区の国道四号線四車線化に伴い浮上している道の駅設置の構想や、まちの特産に成長した「もちぶた館」などと蔵王エコーラインを結ぶ観光道路としての役割や、通勤、通学、買い物への利用といった生活道路としての役割を有しております。しかし、小山田工区二千六百メーターについては、道幅が狭い上に急勾配とカーブの連続により非常に危険な状況にあります。このため、地域住民、大河原町から早期の改良が要望されております。そこで、道路整備の現在の状況と今後の見通しについてお示しください。
 次に、県道亘理村田線ですが、こちらは、常磐自動車道亘理インターチェンジと国道四号線、更に、東北自動車道村田インターチェンジを結ぶルートとなっており、途中、民間の工場や倉庫も立地して産業振興の上で非常に重要で、交通の要衝となる路線となっております。既に、槻木工区、成田工区、海老穴工区は完成しており、残る三斗内工区について、工事の進捗状況はどのようになっているのか、お聞かせください。
 もう一つ、国道二百八十六号線碁石−赤石間、川窪工区についてでありますが、こちらは仙台市から川崎町を経由して山形市を結ぶ産業経済の幹線道路となっております。町内に新たな企業誘致を目指す川崎町にとっても非常に重要な路線ということが言えます。しかしながら、道路の幅員が狭い上に急勾配と急カーブが連続し、特に、冬期間の凍結時にはスリップ事故が多発し、非常に危険な状態にあります。更に、休日には国営みちのく杜の湖畔公園や山形県等からの行楽帰りの車で渋滞し、地元住民はもとより、緊急車両の通行さえままならない状況になっております。加えて、路線沿いには地すべり地帯が存在し、万が一、渋滞時に、近い将来予想される宮城県沖地震等が発生した場合、大惨事に発展することは必至で、ドライバーはまさに命がけの通行を余儀なくされております。県の土木行政推進計画によると、後期に着手予定となっていますが、川崎町から早期着手の要望が再三にわたり行われていることに対する見解をお示しください。
 二千六百メーター区間のうち千三百四十メーターは仙台市側となっておりますが、仙台市との調整はどのように進められているのか、お尋ねします。
 更には、今後の事業の見通しはどのようになっているのかをお聞かせください。
 以上で、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。

○副議長(千葉達君) 知事村井嘉浩君。

◎知事(村井嘉浩君) 高橋伸二議員の一般質問にお答えをいたします。大綱四点ございました。
まず、大綱一点目、市町村合併の期待される効果についての御質問にお答えをいたします。
初めに、住民発議による柴田町・村田町・大河原町合併協議会の設置こそが大きな民意だと思うがどうかとのお尋ねにお答えをいたします。
柴田町・村田町・大河原町合併協議会は、法定の五十分の一を大きく上回る有権者の三割近くの署名による住民発議を受けて設置されたものであり、このことについては、三町の住民による民意の一つのあらわれであったと考えております。県といたしましてもその民意を尊重し、合併協議会に職員を派遣するなど、最大限の支援を行ってまいりました。しかしながら、柴田町の離脱によりこの協議会が休止となりましたことについては、大変残念な気持ちでございます。
 次に、合併協議会が再開された場合の対応についてのお尋ねにお答えをいたします。
 柴田町、村田町、大河原町の三町が合併をいたしますと、議員御指摘のとおり、人口七万五千人、面積百五十七平方キロメートルの新しい市が誕生することになり、非常にコンパクトで質の高いまちづくりが可能となったものと考えております。県といたしましても、新しい市が県南地域の中核都市として圏域の発展をリードしていくことを大いに期待しておりましたので、合併協議会が再開されるということになれば、そのときは三町による合併が成就するよう、県としてできる限りの支援をしてまいりたいと考えております。
 次に、合併により地方交付税が減額され、財政規模の縮小から住民サービスが低下するという意見については、合併効果による行政コストの低減が考慮されていないと思うがどうか。また、学校などの公共施設の建てかえが先送りされるとの意見についてのお尋ねにお答えをいたします。
 合併市町村におきましては、管理部門の一体化や議員等の削減などにより、さまざまな経費の節減が可能となるなど、より効果的な行財政運営が可能になります。また、合併した市町村の財政需要等に配慮し、合併算定替や合併補正などの特例的な財政措置も講じられますので、合併は、住民サービスを向上させる上で極めて有効な手段であると考えております。更に、合併協議会で決定される合併市町村基本計画には、通常、小中学校などの公共施設の整備が盛り込まれますので、厳しい財政状況の中、先送りされていた老朽化した学校の建てかえや耐震化などが、むしろ前倒しで実施される可能性があるものと考えております。
 次に、合併市町村の周辺部における医療機関の診療所化についてのお尋ねにお答えをいたします。
 深刻な医師不足などにより経営状況が悪化している公立病院の経営健全化は、各自治体にとって喫緊の課題となっております。議員から御指摘のありました合併市町村における医療機関の再編やネットワーク化については、合併して一つの自治体になったことにより、これまで先送りされてきた病院の抜本的な改革に着手することができ、ひいては安定的な地域医療を確保できるものと考えております。
 次に、大綱二点目、地域医療の拡充についての御質問にお答えをいたします。
 初めに、みやぎ県南中核病院と公立刈田綜合病院の現状認識についてのお尋ねにお答えをいたします。
 仙南医療圏については、一般及び療養病床の基準病床数千四百九床に対し、本年三月末現在の既存病床数は千三百十一床となっており、二次医療圏内での入院治療に必要な病床数はおおむね充足しているところであります。しかしながら、医師不足を初めとして、地域医療を取り巻く環境には厳しいものがあり、仙南医療圏で中核となるみやぎ県南中核病院と公立刈田綜合病院については、限られた医療資源の有効活用という観点から、機能分化や連携強化等が求められているところであります。
 県としては、このような現状認識のもとに、地域医療計画において両病院の機能分化及び連携強化について、経営形態の見直しを含めて検討する必要があると位置づけたところでございます。
 次に、両病院の機能分化、集約化の実現のために、知事が強い指導力を発揮すべきとの御質問にお答えをいたします。
 仙南医療圏において中核となるみやぎ県南中核病院と公立刈田綜合病院が安定的に質の高い医療を提供するためには、機能分化や連携強化が必要であると考えております。県としては、両病院を取り巻く現状を踏まえ、関係者間による合意形成に向けて意見交換の場の設定や調整を行うなど、両病院を中核とした仙南医療圏全体のより望ましい医療体制の構築に向け、今後とも引き続き努力をしてまいります。
 次に、地域医療再生に係る基金の活用についての御質問にお答えをいたします。
 地域医療再生基金事業については、救急医療の確保、地域の医師確保など、地域医療の課題を解決するため、都道府県が策定する地域医療再生計画の実行に必要な費用を国が交付するものであります。がんは死亡原因の第一位であり、地域医療計画において四疾病五事業の一つとして取り組みの強化が求められている分野であることから、その医療体制の整備に当たっては、本事業の活用が可能なものと認識をしております。地域医療再生計画については、まず対象地域を選定した上で具体的な内容を検討する必要がありますが、県としては、県全体の医療体制のあり方や現状と課題を踏まえ、また、医療関係者や地元自治体等から広く意見を聞きながら、国への提出期限である十月中旬の策定に向けて作業を進めてまいりたいと考えております。
 次に、大綱三点目、ブラジル宮城県人会と宮城県との交流促進についての御質問のうち、ブラジル宮城県人会への助成についてのお尋ねにお答えをいたします。
 海外県人会は、宮城県にとって貴重な海外との交流のかけ橋となる組織であることから、その組織の健全な運営に資するよう支援をしているところであります。特に、ブラジル宮城県人会については、会員数も多いことから、他の海外県人会の二・五倍の運営費助成を行っており、同県人会から御理解もいただいているところであります。また、平成十六年の県人会館の建てかえに当たっては、その建設費等の約二分の一を助成するなど、必要に応じた支援を随時行っているところであります。
 県といたしましては、今後とも、ブラジル宮城県人会に対しまして、我が県と同県人会、更にはブラジルとの交流が一層発展するよう、可能な限りの支援に努めてまいります。
 私からは、以上でございます。

○副議長(千葉達君) 総務部長石山英顕君。

◎総務部長(石山英顕君) 大綱一点目、市町村合併の期待される効果についての御質問にお答をえします。
初めに、合併による住民の利便性の向上についてのお尋ねにお答えします。
市町村合併により、例えば、利用可能な窓口の増加により、書類の提出や各種手続が住居や勤務地の近くなど多くの場所で可能となります。このほか、利用が制限されていた他の町の公共施設が利用しやすくなり、また、旧町の境がなくなり、生活の実態に即した小中学校区が設定されるといったこともできるようになるものと考えております。
次に、合併による公共サービスの多様化、高度化についての御質問にお答えをいたします。
合併により、町単独では困難であった県からの権限移譲事務の受け入れや、市になることで福祉事務所の設置ができるといったことなどにより、更に広範囲で個性ある行政施策が展開できます。また、住民の多くが望む医療・防災体制の整備や、健康・福祉施策の充実のために専門的職員を配置することも可能となり、これまで以上に専門的かつ高度できめ細かいサービスが行えるようになります。このような点で、合併は、公共サービスの多様化、高度化に大きな効果を持つものと考えております。
次に、合併による全体的なコーディネートのもとでの効果的な振興策についてのお尋ねにお答えをします。
御指摘ございましたように、合併により、広い視点から土地利用を検討・調整することで、広域的で合理的な都市計画の策定が可能となり、活気あふれる諸産業の振興が期待されます。また、コミュニティーバス運営事業など各町が個別では行えなかった事業についても、広域的な視点による効果的な取り組みが可能となります。更に、観光資源や自然環境など、各町が持つ地域資源を効果的に活用することで、観光ネットワークの形成や環境対策など、総合的に地域の魅力を高められる施策が展開できるものと考えております。
次に、合併による行財政運営の効率化についてのお尋ねにお答えをします。
市町村合併により行政コストの縮減が図られるほか、専門性の高い人材の育成や危機管理などの専門組織の整備といった行政組織の充実や、財政規模の拡大による財政基盤の安定化と弾力的運用が図られることとなります。また、合併を機に、学校給食の完全実施やコミュニティーバスの運行など、住民の利便性を高めるためのサービスの提供も期待されます。
このように、市町村は合併いたしますと、旧市町村のままではバランスよく対応することが難しかった行政サービスの向上と行財政運営の効率化がさまざまな形で進められるものと考えております。
次に、新市の誕生による地域のイメージ向上などの効果についてのお尋ねにお答えをいたします。
御指摘のございましたように、三町が合併することで県南地域をリードする中核的な都市が誕生し、イメージアップや注目度の向上により、企業の進出や雇用の拡大、さまざまなプロジェクトの実現につながるものと期待されていたところであります。
私からは、以上です。

○副議長(千葉達君) 保健福祉部長鈴木隆一君。

◎保健福祉部長(鈴木隆一君) 大綱二点目、地域医療の充実についての御質問のうち、リハビリ機能の強化と病院の経営健全化についてのお尋ねにお答えをいたします。
仙南医療圏では、回復期リハビリテーション機能が不足している現状にあります。地域における切れ目のない医療の提供を実現するためには、急性期、回復期、療養期の連携が極めて重要であり、この連携強化を通じて医療水準の向上が図られるとともに、自治体病院等の経営上の利点も得られるものと考えております。県といたしましては、今後とも関係者の御理解を得ながら、仙南医療圏におけるリハビリ体制の整備と充実に向け努力してまいります。
次に、がん診療連携拠点病院の整備についての御質問にお答えをいたします。
がん診療に関しましては、拠点病院が未整備の医療圏においても、地域の中核的な病院がその中心的な役割を担っているところであります。県といたしましては、県内どの地域においても適切ながん診療を安心して受けられるよう、地域の中核的な病院の相談支援機能の整備を進めているところであり、今後も、医療従事者の研修支援等がん診療機能の充実に向けた支援を行いながら、地域全体のがん医療水準の向上に努めてまいります。
次に、仙南医療圏における拠点病院整備についての御質問にお答えをいたします。
仙南医療圏は、面積、人口規模等を勘案しますと、がん診療の充実のためには更なる医療体制の整備が必要であると認識をしております。県といたしましては、今後、がん診療連携拠点病院の指定要件に係る充足状況等を踏まえながら、新規指定について検討してまいります。
私からは、以上でございます。

○副議長(千葉達君) 経済商工観光部長若生正博君。

◎経済商工観光部長(若生正博君) 大綱三点目、ブラジル宮城県人会と宮城県との交流促進についての御質問のうち、海外技術研修員受け入れ事業のお尋ねについてお答えいたします。
海外技術研修員受け入れ事業は、国際協力の一環として、これまで四十カ国二百七十二人の海外技術研修員を受け入れ、このうちブラジルについては四十四人となっております。しかしながら、近年、国庫補助が廃止されたことなどにより、多額の渡航費用がかかるブラジルからの海外技術研修員の受け入れが難しくなりつつあります。このため、県といたしましては、同様の事業を実施している独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携し、ブラジルからの海外技術研修員の受け入れに努めてまいりたいと考えており、現在、その実現に向け同機構に要請しているところであります。今後とも、これらの取り組みを通じ、ブラジルからの海外技術研修員の受け入れ確保に努めてまいります。
私からは、以上でございます。

○副議長(千葉達君) 土木部長伊藤直司君。

◎土木部長(伊藤直司君) 大綱四点目、地域の道路網整備についての御質問にお答えいたします。
初めに、県道蔵王大河原線の道路整備の現状と今後の見通しはどうかとのお尋ねにお答えいたします。
県道蔵王大河原線は、蔵王町と大河原町を結ぶ一般県道であり、これまでに蔵王町側の改良を終え、大河原町側も順次改良を進めており、町境の約七百メートル区間についても改良工事を完了したところであります。
未改良区間については現在調査を進めており、今後とも、事業の実施に向け取り組んでまいります。
次に、県道亘理村田線三斗内工区の工事進捗状況はどうかとの御質問にお答えいたします。
県道亘理村田線につきましては、順次改良工事を進めてきており、ことし三月には柴田町海老穴工区の改良工事が完成し、供用を開始したところであります。三斗内工区につきましては、現在、バイパス工事を進めているところであり、今年度中には完成し、供用を開始する予定であります。
次に、国道二百八十六号碁石−赤石間、川窪工区について、川崎町から早期着手を再三要望されていることについての見解はどうか、また、仙台市との調整と今後の事業の見通しはどうかとの御質問にお答えいたします。
国道二百八十六号のうち、川崎町碁石から仙台市赤石までの区間につきましては、急勾配でカーブが多く、幅員が狭いことから、改良工事の必要性を強く認識しているところであります。このため、当該区間においては、地すべり地帯を避けた延長約二・六キロメートルをバイパス計画として、県と仙台市が協力して改良工事を進めることとしております。
なお、土木行政推進計画では、平成二十四年度の事業着手を予定しており、今後とも、事業実施に向け、仙台市と調整を図りながら取り組んでまいりたいと思っております。
私からは、以上でございます。

○副議長(千葉達君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。

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